クレジットカードの利用が増えるに従い、それを狙った不正利用も増えてきました。
今回はクレジットカードの不正利用に使用される手法を紹介します。
悪意を持った人間がとる手法を知り、それに対してしっかりと対策をしていきましょう。
クレジットカードの不正利用に使用される手法
マスターアタック(Master Attack)
マスターアタックは「クレジットカード番号の規則性」を利用してクレカ番号を推測する不正利用の手法です。
こちらの記事にも書きましたが、実はクレジットカードの番号には規則性があります。
この最後の一桁の文字は、その前の全ての桁によって決められます。例えば、番号が「1234 5678 9012 3456」のクレジットカードがあるとします。この場合、最後の桁である「6」は、その前の15桁に基づいて決定されています。つまり最初の15桁が「1234 5678 9012 345」の場合、最後の桁は必ず「6」になるのです。
この規則性のことを「ルーンアルゴリズム」といいます。
このルーンアルゴリズムによって、カード番号の誤入力が未然に防がれています。
一方で、規則性があるということはそれを予想して悪用することもできてしまいます。
犯罪者はこの規則性を使ってクレジットカード番号を予測します。
そこにCVCと生年月日を加えることで、クレジットカードを不正利用するのです。
対策:3Dセキュアなどの多要素認証の導入
マスターアタックに対して、我々一般の消費者ができる対策。
それは「決済完了までのステップを多くする」ことです。
3DセキュアやSMS認証、ワンタイムパスワードなどの活用がそれにあたります。
仮にクレジットカード番号、生年月日、CVCまでが割り出されてしまったとします。
しかし、さらに多くのステップがあれば不正が成功する可能性はぐっと低くなります。
用意されているセキュリティ手段は、可能な限り取り入れるようにしましょう。
フィッシング
フィッシングとは、犯罪者がECサイトやクレジットカード会社に成りすまして、クレジットカード番号などをだまし取る方法です。
本物そっくりのサイトを作り上げ、消費者自身に情報を入力させる方法が有名です。
先ほどのマスターアタックが数を頼りに当たりを探す「投網漁」だとすると、
フィッシングは文字通り「一本釣り」です。
このフィッシング詐欺が悪質なのは、ユーザー本人に情報を入力させることです。
それによって確実に正確な情報をだまし取ってしまうのです。
対策:不審なリンクは絶対にクリックしないこと
フィッシングの対策の一丁目一番地は、怪しいサイトにアクセスしないことです。
フィッシングの多くは不審なリンクが送られてくる所から始まります。
このリンクは本物そっくりに作られていて、見破ることは非常に困難です。
まず、メールやメッセージに記載されているリンクを安易にクリックしないことです。
もし少しでも怪しいと思ったら…
「そのメールを送ってきている会社」に確認を取りましょう。
スキミング
スキミングは、クレジットカードから直接情報を盗み取る手法です。
ATMや支払端末にスキマーと呼ばれる装置を取り付け、カードの磁気ストリップのデータを盗んでいく方法です。
スキミングはカードへの物理的な接触がある所で行われることが多い不正です。
対策:ICチップつきカードの利用と、怪しい機器の確認
ICチップカード搭載のカードは、スキミングの影響を受けにくいといわれています。
またATMや装置を利用する際は不審な装置が取り付けられていないかを確認しましょう。
(特に海外では要注意です)
ただ、これを見破るのは非常に困難ではあります。その際は店員の動きを見るのも一つの手段です。
例えばお会計時にカードを持っていき、見えないところで決済をしようとしている場合。
これは警戒したほうがいいでしょう。
クレジットカードの不正利用対策で大切なのは
クレジットカードの不正利用を100%防ぐことは困難
ここまで不正利用の方法と対策を書いてきました。
しかし、その上で私が最も大切だと思う対策は、不正利用の早期発見です。
どんなに私たちが対策をしても、不正利用をされる可能性は0%にはなりません。
高度なテクノロジーを使った不正利用や、企業からの情報流出など。
私たちがコントロールできない形で情報が流出する可能性もあります。
そんな時に大切なのが不正利用の早期発見なのです。
早期発見により、補償を受ける
不正利用をされたとしても、クレジットカード会社が補償してくれる可能性があります。
こちらの記事にも記載しましたが、多くのカード会社は以下の形に補償を規定しています。
「不正が行われてから60日以内の不正利用を補償する」
つまり60日以内に不正を見つけられれば、補償をしてもらえる可能性が高まります。
(過失の条件などもありますので、正確な情報は各社の規定をご確認下い)
逆に言えば過失がなくても60日以内に報告ができなければ、補償はしてもらえません。
毎日明細書をしっかりを確認しましょう。そして少しでも覚えのない不審な明細があれば…
すぐにクレジットカードの会社に確認するようにしましょう。
まとめ
- 総当たりで探しに行くマスターアタック
- 使用者本人に情報を入れさせるフィッシング
- 物理的に情報を抜き取るスキミング
クレジットカードの情報を不正に取得する方法は様々です。
そしてこれからも更に高度化していくでしょう。
まず、提供されている以下のような不正対策はしっかりと取り入れることが大切です。
- 多要素認証
- SMS認証
- ワンタイムパスワード
ただ最も大切なのは、不正利用がされることを前提とした対策です。
不正利用を早期に発見し、補償が受けられるような状態にしておくのです。
そのためには利用明細の頻繁な確認を行い、不正利用を早期に発見できるようにしておきましょう。