三井住友カードが還元率を大幅に変更!その背景とは?

2024年10月1日、三井住友カードがセブンイレブンでのポイント還元率を大幅に引き上げると発表しました。

三井住友カードによる発表

セブンイレブンによる発表

CCCMKによる発表(Vポイントの会社)

10%のポイント還元を受けるための条件の整理と、どういう意図があるかを考えていきます。

 

三井住友カードの今までの還元率と還元条件

今まで7%の還元をうけるためには

今までも三井住友カードの還元率は以下の条件の上で7%を実現していました。

条件

条件内容

条件 ①

セブンイレブンや特定の飲食店での利用

条件 ②

三井住友カードのスマホタッチ決済でのお支払い

スマホタッチ決済の設定は多少面倒ですが、そこまで手間ではなく7%という大きな還元を受けることができました。

この7%に関しては引き続き同じ条件で還元を受けることができるようです。

ちなみに、スマホのタッチ決済ではなくクレジットカードの物理タッチ決済でも5%の還元を受けられました。

ただ、こちらに関しては還元率の5%→1.5%への変更が発表されています。

今回の変更と10%の還元をうけるためには

この変更でセブンイレブン限定で最大10%のポイントが付与されるようになりました。

条件

10%時の条件

7%時の条件内容

条件 ①

7iDとV会員番号のIDを連携

条件 ②

三井住友カード(Vpass)と V 会員番号の ID 連携

条件 ③

「三井住友カード(Vpass アプリ)」と「V ポイント」を設定

条件 ④

三井住友カードの「スマホのタッチ決済」を設定

三井住友カードの「スマホのタッチ決済」を設定

条件 ⑤

セブンイレブンの利用

セブンイレブンや特定の飲食店の利用

条件 ⑥

セブン-イレブンで、「セブン-イレブンアプリ」の会員コードを提示

条件 ⑦

三井住友カードのスマホのタッチ決済でお支払い

三井住友カードのスマホタッチ決済でのお支払い

公式の記載方法がかなり丁寧なため、一見手続きが今までよりも面倒にみえます。

しかし複数のアプリ連携を一度してしまえば、そこまで手間は変わらなそうです。

なぜなら1~4に関してはアプリ間の連携設定です。

一度設定をしてしまえば2回目以降はスキップすることができます。

唯一ステップとして増えるのは条件⑥

「セブン-イレブンでセブン-イレブンアプリの会員コードを提示」です。

これはセブンイレブン側の「自社アプリを使ってほしい」考えが見え隠れします。

今までよりも多少手間は増えるのですが、その分10%という大きなポイント還元を受けられるので、総じて消費者にとっては好ましい変更といえそうです。

 

三井住友カードの還元率の変更の背景は何なのか

今回の変更には以下の3社がプレイヤーとして絡んでいます。

①三井住友カード

②セブン-イレブン・ジャパン

③CCCMK HD(Vポイントの発行体

それぞれがどういう思惑を持っているかを推察してみます。

 

①三井住友カード

三井住友カードの狙いは当然「三井住友カードのシェアの拡大(発行枚数と取扱高)」でしょう。

カード会社にとってコンビニというのは非常に大切な戦場です。

こちらの記事でも書きましたが、カード会社各社は積極的にコンビニでのポイント還元を行っています。

クレジットカードの還元率(コンビニ版)

コンビニでのカード会社の還元率

コンビニ/クレカ

楽天カード

三井住友NL

三菱UFJカード

ファミマTカード

Amazonカード

こんな人にお勧め

還元の安定感とわかりやすさを重視

徹底的に還元率を重視

手間なく高還元を狙う

ファミマのヘビーユーザー

Amazonとコンビニのヘビーユーザー

1.0%~1.5%

  • 楽天カード×楽天ペイ支払いで1.5%

0.5%~10%

  • スマホのタッチ決済利用で最大10%

0.5%~5.5%

  • 1000円の利用ごとに5.5%

0.5%

  • 通常利用で0.5%

1.5%

1.0%~1.5%

  • 楽天カード×楽天ペイ支払いで1.5%

0.5%~7%

  • スマホのタッチ決済利用で7%

0.5%~5.5%

  • 1000円の利用ごとに5.5%

0.5%

  • 通常利用で0.5%

1.5%

1.0%~1.5%

  • 楽天カード×楽天ペイ支払いで1.5%

0.5%

  • 通常利用で0.5%

0.5%

  • 通常利用で0.5%

0.5%~1.5%

  • 通常利用で1.5%

  • 公共料金の支払い等は対象外

1.5%

なぜコンビニに積極的に投資をするのか。

その理由は以下のようなものが考えられます。

  • コンビニは消費者の日常生活に紐づいている
  • ここでの支払いに使ってもらえれば長くカードを使ってもらえる
  • また消費行動のデータも取れて、貴重なマーケティング材料となる

コンビニを抑えられれば、ユーザーがメインのカードとして使ってくれる可能性が高くなる。

だからこそ今までもコンビニで高い還元率を設定し、今回そのコンビニの王者であるセブンとさらに高い還元率を実現したのでしょう。

②セブン-イレブン・ジャパン

セブンイレブンの狙いは「コンビニ業界でのシェア拡大」でしょう。

すでにセブンイレブンはコンビニ業界の王者であり、店舗数で37.6%のシェアを持っています。1

2位のファミリーマートが28%、3位のローソンが24%ですから、2位以下を大きく引き離していることがわかります。2

しかし直近コンビニの総店舗数は減少してきており、今までのように店舗を出店してシェアを伸ばすのが難しくなってきました。

そうなると、今度はほかのコンビニのシェアを奪う必要があります。

だからこそ今回「セブン限定」の還元設定を行ったのではないでしょうか。

ローソンでもファミマでもなく、高い還元率を持っている「セブン」を使ってください

これも完全に推測ですが、今回のポイントアップの原資は結構セブンが持ってるんじゃないかと思います。

あとは自社アプリの促進も今回の投資の理由でしょう。分かりやすくセブンのアプリを提示するステップを増やしていますから。

 

③CCCMK HD

CCCMK HDは、Vポイントを管理している会社です。

実はこの会社の40%はSMBCグループ(三井住友カードも含む)が持っています。

なのでシンプルに三井住友カードのシェア拡大が一つの目的でしょう。

もう一つの狙いはVポイントのシェア拡大です。

VポイントはもともとTポイントという名前のポイントでした。

一時期はポイント業界で圧倒的なシェアを持っていたポイントです。

ただ楽天ポイントを筆頭にほかのポイントに押されて、現在ではシェアが大きく落ち込んでいます。3

今回10%の還元を受けるためにVポイントの設定が条件になっていることからも、CCCMKがVポイントを伸ばしていきたい意図が見えます。

このように3社のプレイヤーがそれぞれの思惑をもった結果、セブンイレブンという場所に限定しての10%のポイント還元が成立したのだと思われます。

  

私たちはどうするべきか

自分が最も得をする方法を選ぼう

では、私たち消費者はどういうふうに動くべきでしょうか。

シンプルに自分にとって最も得になる行動をすればいいと思います。

各社がどういう思惑でポイントを還元しているかは私たちには関係ありません。

自分が最も得をする方法で買い物をする場所と決済方法を選べばいいのです。

キャンペーンに振り回されすぎてはいけない

ただ、キャンペーンに振り回されすぎないことも大切です。。

例えば

  • 同じものが安くて近いスーパーで買えるのに、わざわざ遠くのセブンでお買い物をする
  • 普段は楽天カードに一本化して家計を管理しているのに、わざわざセブンでだけ三井住友カードを使って家計管理を複雑にする。

こういうのは結局自身が疲れてしまい、トータルで見るとあまり得をしているとは言えません。

10%の還元は確かに大きい還元率です。

しかし、そのために買い物の場所や行動を変えて消耗しては元も子もありません。

自分にとって最も得をする行動というのは、ポイント還元率を追うことではなく、自分の中でしっかりと管理できる範囲で最大のポイントを享受するという意味です。

今後も様々なポイント還元施策が出てくると思います。

それに振り回されすぎず、自分が管理できる範囲おまけ程度にポイントのことは考えるようにしましょう。

  1. 日本ソフト販売株式会社の調査による ↩︎
  2. 日本ソフト販売株式会社の調査による ↩︎
  3. MMD研究所の調査による ↩︎
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